〈耳寄り〉日本初のCLTを床材にした高層建築物が仙台で竣工

 三菱地所(東京都千代田区)が宮城県仙台市で建設を進めていた賃貸マンション「PARK WOOD 高森」が完成し、13日に竣工式が行われた。日本初のCLT(直交集成板)を床材として利用した高層建築物となり、設計・施工段階から防耐火技術・構造技術、施工方法の検証を行うことで、CLT工事の合理化手法の確立を目指した。設計・施工は竹中工務店が手掛けた。
 今回、工場生産されたCLTと鉄骨を組み合わせる軟式工法により、RC造と比較して3カ月程度の工期短縮を実現。またRC造よりも建物が軽量化され、構造躯体工事の負荷軽減につながった。さらにCLTを石こう系SL材で覆うことで、高層化に必要な2時間耐火性能と被覆工事の省力化も実現している。
 施設は木造(CLT床・耐震壁・燃エンウッド)+鉄骨造の地上10階建て延べ床面積3605・11u。総戸数は39戸。CLT利用箇所は床全体の約30%に当たる約1000uと壁の一部(約110u)。CLT床材は4〜10階部分に、CLT耐震壁は1〜5階部分に採用した。CLTの利用に当たっては設計等では林野庁、施工では国土交通省の補助金制度を活用した。
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 三菱地所では、2017年度から専門部署「CLTユニット」を中心にCLTの事業化に向けた研究開発に取り組んでいる。これまでに沖縄県・下地島空港の旅客ターミナル施設で全国初となる屋根の構造材にCLTを採用。「CLT晴海プロジェクト」では、東京都中央区晴海に隈研吾建築都市設計事務所がデザインを監修した岡山県真庭市産のCLT材を使用した施設を建築。20年秋まで運用された後は、部材を再使用し、同市の国立公園内に移築。観光や芸術・文化発信拠点として利用される予定となっている。
 従来、CLTを構造材として用いるためには、建築物ごとに詳細な構造計算を行い、国土交通大臣の認定を受ける必要があったが、CLT利用促進に向けた一連の建築基準法関連告示の施行により、許容応力度計算などの通常の計算で設計できるようになった。
 内閣府によると18年度中に全都道府県で1棟以上、CLTを活用した建築物が竣工する見通しであり、累計竣工件数は300件を超える。新たな木造需要を生み出し、適切な森林管理を通じた土砂災害の抑制、国土強靭化にもつながるCLTの利活用が、今後ますます注目されそうだ。
 
 
〈2019/03/13配信〉

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