―概況は
楠田 緊迫した中東情勢を背景に、国内では政府が石油の備蓄を放出し、石油の供給量を維持している。石油および石油製品共に前年と比べ十分な量の供給を維持できており、新たな調達にも取り組んでいる。
全体的な供給量は足りているものの、流通段階で目詰まりが発生しており、建設業にも少なからず影響が出ている。ナフサを由来とする塗料用シンナーやアスファルト合材、断熱材など、燃料供給の不足から原油・石油製品の一部にも供給不安がある。
―これまでの取り組みは
楠田 経済産業省が塗料に関するサプライチェーンを調査し、目詰まり解消に向けた対応を強化している。川上の石油化学メーカーに対してはシンナー製造に必要なトルエンなどの供給を継続している。川中のサプライチェーンに対しても目詰まり箇所の特定や企業へのヒアリングを通じて事実関係を確認している。
国交省はサプライチェーンの出口である現場と経産省をつなぐ立場。燃料油や石油製品の供給に関する相談窓口を設けて情報収集を進めている。
―建設業界からの相談状況は
楠田 国交省の相談窓口(中東情勢関連対策のポータルサイト内に設置)には約20件の相談が寄せられた。供給不安に加え資材価格の高騰や工期について心配されている方が多く、特に民間工事に対する不安が強いという印象を受けている。
―発注者への対応は
楠田 直轄工事では特定の工事材料の価格が高騰した場合に単品スライド条項に基づき請負代金の変更を行っており、今回も実勢価格を反映した適正な請負代金の設定や適正工期の確保に努める。公共工事の発注者(各省庁、特殊法人、自治体)に対しては、4月17日付けで単品スライド条項の運用についての対応・周知を依頼した。
民間工事についても主要民間団体向けに3月27日付けで通知した。中東情勢による原材料・エネルギーコストの上昇を踏まえ、適切な価格転嫁に配慮するよう依頼している。昨年12月に施行した「おそれ情報」の活用も含め、民間工事についても適切な価格転嫁による労務費へのしわ寄せ防止と、適正工期の確保を求めており、会議の場なども含め呼びかけていきたい。
―今後の見通しは
楠田 建設資材は種類ごとにサプライチェーンの構造が異なるため、中東情勢の影響を一律に見通すことは難しい。今後も業界と連携しながら幅広く情報収集を行い、状況の把握に努める。
また、経産省などと連携して対応を進めているが、今後の情勢によっては業績悪化により経営が厳しくなる事業者が出てくる可能性もあるので、その際はセーフティネット貸付制度について周知していきたい。
心配なのは資材不足への懸念から供給不安を見越した「仮需」が顕在化することだ。そうならないためにも原材料価格の上昇分を適切に価格転嫁していくことが重要。先行きが見通しにくい状況ではあるが、政府をはじめ関係機関が対応を進めている。国交省としても、建設業界への影響や抱える不安を的確に把握し、関係者と連携しながら対応していく。