当連載では、国土交通省が策定した「建設工事における猛暑対策サポートパッケージ」(以下、パッケージ)をベースに建設業者としてどのように対応し、建設業界を盛り立てていくのかを考察しました。今回はそのダイジェスト版ではありますが、今まさに建設業が若者から支持される魅力的業種という立ち位置になることを共有していきたいと思います。
建設業界が抱える課題である▽2024年問題▽担い手不足(人材不足)▽気候変動対策(熱中症・品質)等の解決に、パッケージを活用すれば良いのです。
ただその前に、若手人材が魅力を感じる業界・仕事・会社とは「�@自らの価値を向上できる」「�A向上した価値を認めてもらえる」「�B安心して長く働くことができる」であることを強く認識していただいた上で読み進めてください。
建設業界ほど、自らの価値を向上できる業界はありません。しかもその価値が、資格という見える形で評価されるのです。しかし、その価値を自らが勤務する建設会社内で認めてもらえるかとなると、少々、仕組みが必要であり、その仕組みこそが、建設業に特化した、稼働時間ではなく、プロセス・品質・安全を考慮したシンプルな「人事評価制度」となります。
また、向上した人材の価値や人事評価結果を一番重要な待遇である賃金に連動させるため、建設業に特化した「賃金制度」が必要になることは言うまでもありません。
この建設業に特化した「人事評価制度」「賃金制度」を導入することにより、建設業に入社した若年労働者が、自らの価値を向上でき、その向上した価値を認められ、さらにその価値が賃金に反映されるため、安心して長く働くことができるのです。
これで受け入れ態勢が整いました。しかし、どうやって若手人材に振り向いてもらい、受け入れていくのかという課題が残っています。そこで国交省策定のパッケージの活用です。
パッケージでは、猛暑期間である7月・8月の夏季休工について、人材の安全確保だけではなく施工品質維持の観点からも推奨していますが、私は7月・8月の夏季休業を推奨します。休工ではなく休業ですから休日となるのです。7月と8月は計62日ありますので、62連休となります。もちろん従業員全員が62連休は難しいかもしれませんが、一部の従業員は可能ですし、62連休は無理でも30連休くらいは問題なくできるのです。
夏のバカンスシーズンであり、子供の夏休み期間である7月・8月に30〜62連休が取得できる業界は、建設業界だけではないでしょうか。そのことをPRすることにより、若年労働者にとって就職人気企業になることが可能なのです。まさに2024年問題、気候変動対策を逆手に取って、建設業で働く人材のすそ野を広げて、担い手不足(人材不足)を根本的に解決するのです。
ただ、この夏季休業や夏季休工を実現するためには、パッケージに記された対応の実施が必要です。その一番手が「一年単位の変形労働時間制」の採用でしょう。
夏季休業を実現するために、まずは企業独自の年間休日カレンダーを作成した上で、同変形労働時間制の手続きを実施します。私も7月・8月の62連休のカレンダーを作成してみましたが、他の月は原則、日曜・祝日休みで、年末年始休暇を設定することで、年間休日125日で収まる年間休日カレンダーとなりました。
私は、7月・8月の夏季休業や夏季休工が、建設業界の人材不足を解消する非常に大きな仕掛けになると思っています。もう、一般的な取り組みや他業界をまねた取り組みでは、建設業界の人材不足は解消できないのです。
そもそも建設業は、働く人自身の価値が向上し、その価値を一生提供できる職種なのですから、そのことを適切にPRし、かつ、他業界ではまねのできない長期休暇を実現できる業界であることをPRすべきなのです。
そのためには建設会社自身および業界としてやるべきことがありますが、そのやるべきことは決してハードルが高いことではありません。具体的には、変形労働時間制の下、夏季休業・夏季休工を実現し、人材の価値を高め・認め・待遇に反映させ、人材不足を解消し、人材が安心して働くことができる組織を創るのです。
これらを実現するためのセミナーを11月18日に開催予定ですのでご期待ください。